【目次】【医師監修】プロテインダイエットの正しい方法とおすすめのプロテインの選び方
2. ボリュームが増えやすいメインの食事の代わりに置き換える
プロテインダイエットとは
プロテインダイエットは、 プロテインを食事の代わりに置き換えるダイエット です。
置き換えダイエットとしてはスムージーや酵素ドリンクを利用した方法もありますが、プロテインは筋肉を作るのに必要な成分を多く含むため、筋力アップにも繋がることで注目されています。
しかし、置き換えダイエットというと、食事を全て飲み物に置き換えるというような極端なダイエットを考える人が多いのですが、それは失敗につながりやすく不健康なダイエット法であり、おすすめできません。
プロテインダイエットを成功させるには、正しい理論に基づいて、無理なく健康的に行うことが大切です。
タンパク質を十分に摂ることがダイエットへの近道
ダイエットのことを語る上で欠かせないのが栄養の知識です。
人間にとって必要な三大栄養素といわれるのが「タンパク質」「糖質」「脂質」の3つ。
現代の食事では「糖質」が多くなりがちで、おかずとして食べるものには「脂質」が豊富に含まれるものが多くなっています。
脂質も糖質も生きる上で必要な栄養素ですが、摂りすぎには注意したいところです。
一方で、普段の食事で不足しがちなのが「タンパク質」です。
朝ごはんは「パン」のみ、昼ごはんは「サラダ」と「おにぎり」または「そば」「パスタ」などの単品メニュー、夕食は太るから軽めに済ませる…といった食生活をしてはいませんか?
このような食事ではタンパク質を十分に摂れていないことが多いです。
タンパク質は筋肉を作ったり、免疫や代謝に必要なホルモンを作る上で欠かすことができない栄養素 です。
特に、筋肉は脂肪を燃焼させて基礎代謝をアップするもの。
引き締まった体を手に入れるためにも、タンパク質は不足させたくないところです。
脂質と糖質を適量に抑え、タンパク質を十分に取り入れることこそがダイエットの基本になります。
なぜプロテインがダイエットにいいの?
英語でいうところのプロテイン=proteinとは、日本語では「タンパク質」のことです。
プロテインドリンクと呼ばれる商品は、タンパク質を豊富に含んでいることが最大の特徴です。
ダイエットにおいて、プロテインが優れている理由はいくつかあります。
- 飲むだけでタンパク質を手軽に補給できる
- 甘くて飲みやすいので無理なく続けやすい
- 余分な脂質を摂らずにタンパク質を補給できる
なんとなくプロテインを取り入れるよりも、プロテインを摂る理由を理解しておいた方がダイエットにも取り組みやすくなります。
そこで、上記の理由について具体的に解説していきます。
1. 飲むだけでタンパク質を手軽に補給できる
タンパク質を取り入れる上で、普段の食事の内容が大事ということは言うまでもありません。
しかし、タンパク質源としてメインとなる「肉類」を食べ過ぎると、同時に「脂質」も摂りがちになります。
脂質を過剰に摂取すると、それだけカロリーオーバーとなる可能性が高く、コレステロール値の上昇につながることもあります。
ただ、メインとなる「主菜」の量を減らすと、体にとって必要なビタミン・ミネラルなども減ってしまいます。
プロテインには、ビタミンやミネラルも含まれているものが多いため、この不足分を補うのに非常に効率の良いドリンクなのです。
バランスよく栄養を補い、タンパク質を集中的に摂取できることがプロテインのメリットと言えます。
2. 甘くて飲みやすいので無理なく続けやすい
プロテインは昔はあまり美味しくないものと思われていましたが、最近では改良が重ねられて非常に飲みやすくなっています。
ココア味、いちご味などのようなオーソドックスな味から、チャイ味、ミルキー味などのような変わり種も登場してきているのです。
青汁のような独特なえぐみや苦味もなく、基本的には甘いものが多く女性でも飲みやすくなっています。
プロテインダイエットは短期決戦でも効果は得られますが、リバウンドのリスクを減らすには定期的に取り入れて、長く取り組むのがおすすめです。
続けるためにも飽きずに続けられるということは重要なポイントです。
3. 余分な脂質を摂らずにタンパク質を補給できる
タンパク質を摂るには「肉類」「魚類」「豆類」「卵」を取り入れることが必要です。
しかし、実際に現代の日本人のタンパク源は「肉食中心」になっていて、豚肉、牛肉などを使った主菜が人気ですよね。
この肉食中心の食事の問題は、動物性脂肪を摂りすぎることが多いことです。
動物性脂肪の飽和脂肪酸の摂りすぎは、コレステロールを上昇させるため、動脈硬化の原因になると言われています。
最近では脂質を過度に抑える必要はないという説も登場していますが、消化するのに時間がかかるため摂りすぎはよくありません。
プロテインであれば動物性脂肪を抑えながらタンパク質を補給することができます。
糖質が含まれているので糖質制限している方は気にしがちですが、適度な量を摂取していれば糖質オーバーにはなりません。
プロテインダイエットの方法
それでは、実際にどのように食事とプロテインを置き換えていくかについてお話します。
早く痩せようとして3食全てを置き換えようとする人がいますが、これは栄養学的にもNGです。
むしろ過度にカロリー制限、栄養制限してしまうことで、普通の食事に戻した時にリバウンドしやすくなってしまいます。
ここでは、数週間以上かけて安全に行うプロテインダイエットの方法を紹介します。
1. 食事で足りていないタンパク質を補うためプラスして飲む
お肉や魚などをたくさん食べられないという人もいれば、忙しくてきちんとした食事を用意できないという場合もあるでしょう。
例えば、朝食をパンとコーヒーだけ、昼食をサラダとおにぎりだけという場合には、圧倒的にタンパク質が足りていません。
通常の生活強度であれば1日に体重1kgあたり0.8g、アスリートや負荷がかかる運動習慣のある人は、体重1㎏あたり1.2~2.0g のタンパク質が必要だと言われています。
ダイエット中の人はなるべく1日に体重1kgあたり1gの摂取を心がけたいところ。
体重60kgとすると毎食で20gのタンパク質が必要です。
大事なのが、タンパク質1gがそのままお肉の量として1gではないということです。
例えば、タンパク質20gは食事にすると、豚肉の生姜焼き(肉)180g、鮭のホイル焼き(鮭80g、玉ねぎ・人参・きのこ80g)でもタンパク質量が18g程度であり、まだ不足している状態なのです。
正直、なかなかこれだけの量の食事を毎食食べるのは大変という方も多いのではないでしょうか。
そこで、プロテインをプラスすれば、簡単に1日のタンパク質目安量を満たすことができます。
プロテインは商品にもよりますが、1杯あたりで10g程度のタンパク質を補えます。
基本はバランスの良い食事を摂ることが大事ですが、忙しい人こそプロテインを活用してみると良いでしょう。
2. ボリュームが増えやすいメインの食事の代わりに置き換える
自分の普段の食事を振り返ってみて、ボリュームが増えやすい主菜や朝昼夕の食事のどれかの代わりにプロテインを飲む方法もあります。
例えば、どうしてもボリュームのある揚げ物料理を食べたい時に、量を抑える代わりにプロテインをプラスして不足しているタンパク質やビタミンを補うのです。
ただし、朝食や夕食をプロテインだけにして我慢する方法は、短期的には痩せられるかもしれませんが、不健康に痩せてしまう可能性もあります。
朝昼も軽めにして、夜もプロテインだけのような極端なダイエットはしないようにしましょう。
3. 間食や甘い物の代わりにプロテインを飲む
また、3食の代わりではなく、甘いものに手が伸びやすい間食の代わりにプロテインを飲む方法もおすすめ です。
小腹が空いたときに甘いものを食べてしまうと、血糖値が急上昇してインスリンの分泌量が増えるため、どんどん甘いものが欲しくなるという現象が起こりやすくなります。
甘いものではなく、プロテインのようにタンパク質を含むものを取り入れるようにすると、血糖値が安定しやすくなるのでおすすめです。
結果的に、夕食の食べすぎを防ぐこともできて一石二鳥の方法と言えます。
プロテインダイエットでの注意点
プロテインダイエットは痩せられる方法のはずなのに、なかなか痩せられない、むしろ太ってしまったという人もいます。
痛い失敗を防ぐために次の注意点を知っておきましょう。
基本はバランスの良い食事+プロテイン
プロテインは完全栄養食というわけではなく、プロテインだけで生きていけるというような食べ物ではありません。
食物繊維が不足しがちであったり、栄養的にもプロテインだけでは不十分です。
ダイエットの基本はバランスの良い食事であり、肉類、魚類、卵、豆類などから十分なタンパク質を摂取することが望ましいです。
あくまでもバランス良い食事が難しい場合の補助として使うようにして、プロテインにばかり偏った食事をしないようにしましょう。
適度な運動も取り入れて代謝を上げる
プロテインダイエットで忘れてはいけないのは、運動が不可欠であるということです。
プロテインは決して痩せる飲み物ではありません。
タンパク質を十分に補うことで、筋肉量をアップさせることが目的です。
痩せるためには筋力トレーニングと合わせて、脂肪燃焼効果の高い有酸素運動を取り入れことが必要です。
運動は苦手という場合であれば、なるべくエスカレーターを使わず階段を使う、車よりは自転車、歩くなどの移動手段を使うなどの工夫をしましょう。
スーパーで買い物するときにもカートで楽をせずに、買い物かごを利用するだけでも筋トレになりますよ。
※合わせて読みたい: 【パーソナルトレーナー監修】有酸素運動は無酸素運動と組み合わせるのがおすすめ!家でも出来るおすすめの有酸素運動をご紹介
ダイエット向けのおすすめプロテイン
薬局やスポーツ店のトレーニングコーナーに行くと、たくさんの種類のプロテインが並んでいますよね。
プロテインによって「筋力アップ向け(ボディービルド)」、「ダイエット向け」のものがあります。
どれも大差ないように見えますが、求める効果により使い分けることが成功への近道になります。
ダイエット向けのプロテインを具体的に紹介していきます。
ホエイプロテイン
牛乳から乳脂肪分と固形たんぱく質を除いたときに残ったものが「ホエイ(乳清)」です。
わかりやすく言えば、ヨーグルトの上澄み液がホエイと呼ばれる成分になります。
ホエイプロテインはプロテインの王道とも言える種類であり、タンパク質が非常に豊富です。
筋肉の分解を防いで筋肉を作るためのBCAAやアミノ酸もたくさん入っています。
吸収が非常に早いため、筋トレ後の回復に用いるのにおすすめのタイプです。
カゼインプロテイン
カゼインプロテインも、プロテインの中では定番の種類です。
カゼインとはホエイを作るために取り除いた固形たんぱく質そのもののことを言います。
ホットミルクを作った時に、表面に浮いてくる膜がカゼインです。
ホエイは体への吸収が早いことが特徴ですが、カゼインはゆっくり時間をかけて吸収されます。
4時間以上かけて吸収されるので、筋トレなどの運動後に時間をかけてタンパク質を供給してくれます。
筋トレやダイエットしたい人は、ホエイとカゼインを両方ともバランスよく摂取すると効率よく吸収できておすすめです。
ソイプロテイン
女性に人気が高いのが「大豆=ソイ」を原料とする「ソイプロテイン」です。
ソイプロテインは、大豆に含まれる植物性のタンパク質を摂取できることが最大の特徴です。
一般的に、動物性タンパク質の方がアミノ酸スコアが高く吸収に優れていると言われています。
しかし、動物性タンパク質の場合は余分な飽和脂肪酸を摂取してしまうという問題があります。
動物性食品を取れない、アレルギーがあるという人もいるでしょう。
ソイプロテインであれば、植物性タンパク質でありながら、動物性タンパク質にひけを取らないアミノ酸の利用効率で吸収に優れています。
特に女性の場合は、ホルモンバランスを整える作用のあるイソフラボンも摂取できるので、身体的・精神的な不調の管理にもおすすめです。
プロテインは、ダイエット中に補給したいタンパク質を効率よく手軽に摂取することができる栄養食品です。
正しく取り入れていけば、理論上は痩せやすい体を作ることができる方法と言えます。
大切なのは、安全に正しい方法でプロテインを取り入れることと、運動を合わせて行うことです。
プロテインを活用して、憧れの引き締まった体を手にいれるための努力を積み重ねていきましょう。
執筆・監修:薬剤師 笹尾 真波(ささお まなみ)
大学院卒業後、某内資系製薬企業にて市販薬の企画開発・マーケティングなどに携わる。
その後、都内大型門前病院前のドラッグ併設調剤薬局にて、調剤業務および市販薬のバイヤー・在庫管理・販売にも携わる。
その他、サプリメント・ハーブやオーガニックコスメ販売にも従事する。
また、外資系製薬企業にてDI業務、学術情報部門にて糖尿病や免疫関連の学術情報の検索および情報提供にあたる。
現在は非常勤薬剤師として調剤薬局で勤務する傍ら、正しい薬の使い方や医療情報、美容関係の情報提供に務める。
監修:医師 成田 亜希子(なりた あきこ)
2011年に医師免許を取得。
日本内科学会、日本公衆衛生学会、日本感染症学会、日本健康教育学会所属。
初期臨床研修修了後は、一般内科医として幅広い分野の疾患の治療に従事している。
行政機関への勤務経験もあり、健康増進や感染症対策、母子保健などの政策に医師という立場で携わっていた。
プライベートでは二児の母。
趣味は乗馬、旅行、料理。